この人と過ごすことになる日常が、控えめに言ってもかなり幸せだと思った。
ぬるま湯に浸かっているみたいに、温かくて広い安心感に包まれている日々。
いつか終わりが来るとしても、この人の腕の中で眠れる日を大切にしようと思った。
「……ありがとう、れいひ」
そう小さくこぼすと、麗日は満足そうにわたしの髪を撫でた。
「その前に結構人多い所行くけど、ちょっと我慢してな」
わたしの目を見つめながら、彼は言う。
「無理して喋らなくていいし、目も合わせなくていい。俺から離れなければそれでいいから」
コクリと頷くと、麗日はわたしの頭をぽんぽんと撫でた。
この人相手でさえも、あまり上手く話せない。
いままで人と関わることが極端に少なかったから、会話が難しい。
それを麗日は気遣ってくれたのだろう。
この人はどこまでも、わたしのことをいちばんに考えてくれる。



