Hush night



「お前、生きてる?」



ピクリとも動かないわたしに、彼は平然として話しかけてくる。



生きてる、なんて。

物騒だなんて思うけれど、こんな格好している身でそんなことは言えない。




「こんなところに女ひとりとか、どっかのだれかに喰われるぞ?」




投げかけられる言葉は、無慈悲で無頓着のようだ。

きっとわたしの存在を面白がって話しかけているに違いない。



「……ま、俺が喰っちゃってもいいけどな?」




思ってもないくせに。

きっと、ただの気の迷い。



遊び、うん、そうだ。


興味の“き”もないくせに、暇人だ。

放っておいてくれたらいいのに。



ひとりでペラペラ喋る男がうざったくて、顔を歪めると同時に、うずくまる体勢が崩れてしまった。



……あ。



そうフリーズする前に、目の前の男によって顔を無理矢理あげさせられた。



冷酷に微笑む彼【レイ】は、目を見開いて瞬きできないほど美しかった。





「なーんだ。
かわいー顔してんじゃん」