Hush night



その言葉に、言いようのない想いが胸を締めつけて。



───思わず、涙が溢れ出てきそうだった。




…………わたし、さっき苦いって思った?

薬を、……不味いって思えた?



それを……麗日に、人に、わかるように表情に出した?



あの “ 男 ” に、『お前の心など殺せ』って言われたあの日から。


はじめて、味なんて感じて。

感情に揺さぶられて。




そんな、心から安心できる場所で。

相手に。


微笑んでもらったことなんて、一度もなかったのに。




「……大丈夫だから」



大丈夫、という、その麗日の言葉は重く響いた。





けれど、麗日はきっとわたしの味方なんだと感じてしまった。




「うん……」




涙が、ぽとりと落ちた。