ああ、と小さく頷く。



麗日に拾われたあとから、不思議なほど体が軽かった。

出していた熱も、沢山の傷の痛みも。



ぜんぶ忘れたように感じなくなっていたのは、わたしが意識を失ったときにそうやって和らげてくれていたからなんだ。



じっと意味もなく渡された錠剤を見つめる。

麗日の何気ない優しさ。


それに気付いてじわっと心が温まった気がした。



「錠剤、苦手?」


そんなわたしに、麗日は勘違い。

なにも言わずに固まっていたからか、わたしが飲めないと判断してしまったらしい。




……ほんと、よく見てるなあ。

驚くほどの観察眼。



それもまた、【レイ】を纏うもののひとつなんだろうか。



「ううん……、飲める」

 
「ん、そっか」



首を横に振って応えると、テーブル越しに腕を伸ばしてポンっとわたしの頭に手を置いた麗日。

会ったときから薄々感じていたけれど……。



「れい、ひって、……撫でるのすきなの?」