仄かなオニオンの匂いが鼻腔をくすぐる。

少しずつ、火傷しないように頂く。



あ、これ。

…………美味しい。




「うまいか。よかった」



何も言ってないのに表情で汲み取ったのか、嬉しそうに笑った麗日。


未だにこの男と食卓を囲んでいるという奇妙な光景に慣れないところもある。

けれど、本当に彼が言ったように。



“ 雑念なんか捨てろ ”



その言葉を信じていいなら、許されるような気がした。


「あと、食後にこれ飲みな」



思い出したように、麗日はなにかをわたしの近くに置いた。

それは、……錠剤?


首をひねるわたしに、ちゃんと教えてくれる。




「お前、熱出してただろ。それの、治癒薬」