遠慮がちに通り過ぎる足音。 ヒソヒソと囁く声。 全てがわたしを孤独にしているみたいで、目眩がするほど怖かった。 苦しい。 はやく、はやくこの場から立ち去らないと。 ……さもないと、 取り返しの付かないことになる予感がした。 モノとして扱われるわたしは、自分の意志なんて持ってはいけないのに。 なんて考えているのもつかの間、 ──── ああ、ほら。 途端に、その場一体の空気が変わった。 何者かによって操られた、どうしようもなく抗えないその雰囲気に。