Hush night



「俺といるときは、自分の感情に赴くままに動いていいから」

「……」



そんなこと、いままで言われた記憶なんてないのに。



「何からでも守ってやる。うるが、俺のそばにいるのなら」



強くて、 あざとくも、心の中に沁みついてくる。


冷えきった心が彼によって溶かされていく。

こんなつもりじゃ、なかったのに。




「あ、でも食事は俺が決めるからな? お前、なんにも食べようとしないしさ」



なんで、ただ拾っただけの女を、こんなにも大事に扱うのだろう。

わたしは、そんな守ってもらえるような人生を歩んできてないのに。



「……うん、」



振り絞るように声を出すと、それは予想外だったのか麗日は嬉しそうに笑った。



「俺は、絶対にお前を傷つけねえよ」



重みのある言葉は、本当なんじゃないかと錯覚してしまう。


そんなわけないのに。

そんなの、嘘に決まってるのに……。