遠慮がちに彼の部屋の中に入る。
控えめに歩くわたしに、麗日は大きいソファに腰掛けながらちょっと笑って手招きした。
「うる」
従順なわたしは、麗日の近くへ寄る。
包容力がある彼はわたしの頭を撫で、隣に座らせた。
「うる、なに食べたい?」
どうやら、車の中での会話を続けているらしい。
『栄養あるもん食え』
そんなことを言われた気がする。
さっきの弾さんとのアクシデントで少しの間、頭の隅に退けられていた。
首を傾げて、少し考えてから答える。
「お腹……空いてない、かな」
何も食す気分じゃない。
麗日が欲しいのはこんな返事じゃないと思うけど、本心だから見逃してほしい。
ポツリと呟いたわたしの言葉を拾った彼は、突然ギュッと、わたしの腰回りに腕を伸ばして抱きしめてきた。
……え?
びっくりしてフリーズするわたしは置いて、麗日はすぐに解放して、不満そうに見つめてきた。
「お前ね、もっと太れ」



