Hush night



「ふーん……」



それほど興味もないのか薄い反応を続ける麗日。

なにを思っているのかさっぱり読めない。


麗日は少し空を仰いだあと、唇をきれいに歪ませた。



「うるのこと、脅してもつまんないっしょ?」



弾さんに向けられた瞳は、怒りも呆れもなく。

ただ、楽しんでいるように見えた。



「は?」


意味が分からない、という表情をしてポカンとする弾さんを

置いて、構わずひとりで話す麗日。



「だって、うるってそんな脅しで言うこと聞くつまんない女じゃないから?」



クスッと笑ってわたしを見たかと思えば、グイッと強引にわたしの手を引いて、自分の胸に抱いた。

不意打ちに鼓動が早くなる。




「っつーことで、弾。早く帰りな?」



なにを話していたか、とか、どうしてこんな真似をしたのか、なんてひとつも聞かなかった。


麗日は、そういう人間味のある人間なのだと、はじめて知った。




そんな麗日の態度に終始黙っていた弾さんだけど、「悪かった」とひとこと謝ると去っていこうとした。


けれど。




「麗日。覚悟ってあるわけ?」