Hush night


敵わねえ、と弱ったように微笑み、兄は頭を下げた。


そしてわたしに切なげな瞳を向け、言う。


「もう兄ちゃんの資格なんかないけど……俺のことなんか忘れてくれて良いから、幸せになってほしい。こんなん言える立場じゃないのは、……わかってる」


「……うん。わたしは勝手に、幸せになる。お兄ちゃんも、……もう解放されていいんだよ」


「…………ごめんな。ありがとう、雨瑠」



わたしは兄から、いつまでも消えない傷を負った。

だけど、それを癒してくれる人がそばにいる。


そう思ったら、兄のことも応援できる気がした。



「李水。とりあえずは今後のことを話し合おうか」

「……はい、お父さん」


「それじゃあ、僕たちはこれで失礼する。雨瑠も麗日も、何かあれば気軽に連絡して来い」


「獅童さんに連絡したらコキ使われるから、やなんだよな……」

「何か言ったか、麗日」


「いえ、何も」