「……レイ、」
少し和らいだ雰囲気のなか、小さな兄の声が麗日を呼んだ。
兄に向き直った麗日が首を傾げると、兄は躊躇しながらも口を開いた。
「レイがどうして、多くの人間に慕われ、父さんにも認められたのか……分かった気がする」
こくりと頷く麗日に、さらに兄は続ける。
「だから……もう恥ずかしくないような自分になれたら、俺をレイの下で働かせてほしい」
「俺の下に?」
反芻し、麗日は深く悩んだ様子を見せる。
逡巡していたようだったけれど、彼は真剣な兄の目をじっと見つめ……ふっと笑った。
「そのときは、命を張って組員を守れるくらい強い人間になってろよ」
麗日は、人間として美しい。
驚くほど欠点がなく、どこまでも麗しい。
この人から大きな愛を与えられているわたしは、前世でどれほどの徳を積んだのだろうか。
「……くそ、やっぱりレイはかっけえな」



