父は、じっとわたしを眺めていた。
数秒そのまま時間が止まったようだったけれど、ふと父の表情が和らいだ。
そして困ったように眉を下げて言った。
「親子揃って、麗日に惹かれるんだもんな」
柔らかく微笑み、父はいままででいちばん優しい笑顔を浮かべた。
父はそうしてわたしから視線を外し、麗日を見つめる。
「麗日なら、きっと雨瑠を幸せにしてくれるだろう。雨瑠を救ってくれたのも、彼なのだから」
「……そんな大それたこと、してないですよ」
「いや、麗日には感謝している。獅童組を継いでくれて、雨瑠を救ってくれてありがとう」
麗日は父の言葉に、一瞬驚いたような表情を見せたけれど、すぐに口角を上げて首を横に振った。
「いえ。俺はずっと、雨瑠のために生きていたので」
……その言葉の意味がわかったいま、恥ずかしいのと切ないのが混ぜこぜになる。
でも、すごく嬉しい。
心が満たされて、思わず頬を赤く染めると、父は呆れたようにため息を吐いた。



