「俺は、どうしたって獅童さんの子にはなれない。どれだけ欲しても、無理なんだよ」
「……っ」
「スイは、生まれたときから獅童さんの息子だろ。それなら俺だって言いてえよ、お前は狡いって」
「……」
「人間ってのは、ないものねだりなんだよ。それを他人のせいにしたところで何も変わらねえ」
麗日がそう言い切ると、倉庫内は静寂に包まれた。
誰よりも考え方が大人で、若くしてトップになった人にしか言えない台詞だと思った。
鋭い瞳で兄を見つめる麗日は美しく、どこまでも麗しかった。
「俺は、……、何をしていたんだろう……」
呆然として、兄は自分の手を広げた。
それを目の前に持って来ると、ゆっくりと天に伸ばす。
そうして数秒間眺めた後、兄はわたしに近付いた。
思わず後ずさり、警戒して兄の顔を見ていると、彼は哀しそうに俯いた。
「……雨瑠、ごめんな」



