獅童組の組員からすれば、父は元トップであり、逆らえるはずもない人間だ。
おかげで組員の人たちが息を止めたように静かになる。
あまりにも雰囲気が凍るものだから、逆にわたしは冷静になっていく。
父が今ここに現れた意図が掴めない。
兄とわたしのことは、小さいときから放置に等しかった。
だから、わたしが兄に手を挙げられていたことも知るはずがない。
「どうしてここに……」
兄が怯えと困惑を混ぜたような表情で尋ねると、父は微笑を崩さず言った。
「麗日に呼ばれたんだよ」
……麗日に?
びっくりして麗日を見れば、彼は小さくこくりと頷いた。



