Hush night


「もう、……後戻りなど出来ないと思ったんだ。……哀れな罪を犯したのだから」


兄がそんなことを思っていたなんて、知らなかった。


何があっても、天地がひっくり返っても、わたしの兄はこの人だけだ。

それは変わらない。……だけど。


兄に傷を付けられた記憶は、心の奥底に深い刺し傷となっていつまでも残っている。

それは消えることがなく、癒えることもないに等しい。


兄を心底許すことなど、到底出来ない。

どれほど謝られても、その気持ちは変わらないと思った。




「俺は、こんなんだから……父さんに見放されたんだろうな」



兄がそうぽつりと呟いた言葉に、麗日は何かを言おうと口を小さく開いた。

だけど、兄の背後に視線を移し、ふるふると首を横に振った。



「お前は、……気付いてないだけなんだよ。獅童さんの愛に」