……兄は麗日が現れたから、父に見放されたのだろうか。
いや父はただ、兄に獅童組を継がせるつもりは毛頭なかったのかもしれない。
一度たりとも、父は兄に対して獅童組を任せようとは言わなかったから。
それは兄に期待していなかったから?
……実の息子なのに?
いつもは威厳の塊のような人で、実の息子と娘には厳しい父だった。
麗日から語られる父の像は、わたしたちが見てきた彼とは少し違うような気がした。
でも父は、わたしたち子どもに、毎日命を狙われているような自分に懐かせてしまえば、わたしたちにまで危害が及ぶと思ったのかもしれない。
ちゃんと、話せばよかった。
気づけば、兄とも父とも、きちんと話をする機会などなかったのだ。



