皆が口を閉ざし、長い沈黙が過ぎた。
このまま静寂の中、皆が幻想のように消えてしまうんじゃないかと錯覚した、そのときだった。
「……そんなの、狡いだろ、」
兄の口から、か細い声が落っこちた。
いつもの強気な言い方ではなく、とても弱々しい語気だった。
「レイは、お前は、何もかも狡いんだよ……っ」
兄はそう怒りを露わにすると、麗日に掴みかかる。
それを冷静に眺めている麗日は抵抗しなかった。
よく見れば、兄の目からは涙が溢れていた。
悔しさと劣等感で、顔を歪めていた。
「ぜんぶ……! お前は全部俺から取り上げていく! 父さんも、獅童組も、妹も!」
悲痛な叫びは、暗い倉庫内に響く。
兄がこれほどまでにみっともない姿を見せているのは、ほとんど立ち会ったことがなく、ふと悲しくなる。



