Hush night


俺の気持ちも、弾の気持ちも汲み取っている発言だった。


よく見ている、よく考えている人にしか言えない言葉だった。

俺がゆっくりと弾に歩み寄ると、彼はふとこちらを見上げた。



『……一緒に、行こうぜ』


照れ臭くて、そっぽを向いて言ってやった。

だけど、弾の表情がパッと明るくなったことはわかってしまう。



『ぜひ……お願いします』



獅童さんに、ガバッと弾は頭を下げた。

俺も、小さくお辞儀をした。


獅童さんはふっと微笑んで、俺たちの頭を一気にぐしゃぐしゃと撫でた。


その力強さと乱暴さに、弾とふたりして笑った。



『麗日のおかげだな』

『何が』


『だって、俺の世界を変えてくれたのは紛れもなく麗日だから』

『……そんなことねえよ』


『ある。だから俺は、一生麗日に恩を返すために生きていく』

『……俺だって、獅童さんのおかげだし』


『じゃあ、俺らふたりのことを変えてくれた獅童さんはすげえな』




その日から、俺たちは学校に行かなくなった。


行っても良かったのだけれど、獅童さんが『行きたくないなら無理していく必要ない』と言ってくれたから、弾と一緒に辞めてしまった。

その代わり、組のことを学ぶのに必死だった。


死ぬ物狂いで勉強し、トップになるまで努力を怠らなかった。

獅童さんが大切にしている組を、守るために。


そして、────あの雨瑠という女の子を、救うために。