言われたとおり、上着を頭に被る。
少しだけ早足になった弾さんに置いて行かれないように小走りでついて行く。
「……うるちゃん」
ある一室の前で、弾さんはピタリと止まった。
……1802号室。
ピリつく空気の振動。
一瞬だけ、浅く息を吸ったその瞬間。
──── ガツッと、鈍い音がして、驚きもせずに状況を把握する。
その一室の前に立ったわたしを、弾さんが部屋の扉を足で抑えてこちらを覗き込んでいた。
長い脚。
触られたわけでも力を受けたわけでもないのに、捕まったように動けなくなる。
わたしの横に投げられた弾さんの脚を見つめた。
「驚かないんだね?」
じっとわたしを観察するように見て言う弾さんは、わたしが動揺しないことについて思案している。
蔑むような目……、そういうのは、もう散々だ。



