『いつ殺されるか、わからない。いつ背後から狙われるかわからない。そういう毎日を送っている俺が引き取れば、お前にも危害が及ぶ。さらに、後を継がせようとしているのなら尚更』
獅童さんはいままで見てきた大人の中で、いちばん危険な人だった。
そして、真剣な瞳で話してくれる人だった。
それが恐ろしく興味を持たせ、俺はもう抜け出せない世界へと足を踏み入れていた。
『じゃあ、どうしてですか?』
獅童さんの左手の薬指には指輪が光っていた。
結婚しているのなら、もしかすると子供がいる可能性もある。
そうとなれば後継ぎを俺にさせようとしている理由が、わからない。
獅童さんの言葉を待っていると、彼は小さく頷いて口を開いた。
『素質があると思ったからだ』
『素質?』
『ああ。麗日は、施設にいた頃の俺と似た空気を感じた。変わり映えのない日常に、おかしくなりそうで本当につまらない……と言っているようだったよ』
『……』



