Hush night



獅童さんと母が知り合いだったから、俺を引き取ってくれようとしてくれるのかと疑った。


だけど、そもそも獅童さんにそんな義理はないし、ちゃんと俺の目を見てくれていたから、それは愚問だと気付いた。



この人に、着いて行っていいのか。

もしかすると、いま浮かべている優しい笑みは嘘で、本当は酷い人なのかもしれない。


でも、そうならばそれで良かった。

どうせなら、新しい世界を見たかったのだ。



『……俺、獅童さんみたいになりたい』



いままで将来のことなど興味がなかったのにも関わらず。

思わず漏れたのは、そんな言葉だった。



俺の素直な言葉に、獅童さんはふっと微笑んだ。


『じゃあ、俺の後を継いでくれたらいい』

『……後、ですか』


『少々荷が重い仕事だが、麗日ならきっと出来る』

『でも、俺別に優れたところとか、ないです』


『大丈夫。きみを見抜いた僕の目は確かだから』