自分と似た人とは馬が合わない。
そういうことだと思う。
どこか品定めをされているような、悟られているような気がする。
そんな感じだった。
「……大丈夫です」
俯き加減に答えると、それ以上弾さんは口を開かなかった。
コツ、コツ、という弾さんの足音だけが響く。
まるで囚われた人間の虚無感。
堕ちていくような重い空気。
弾さんがわたしに良い印象を抱いていないのは確実だ。
……わたしが彼にそういう想いを抱いているから、確信がある。
この闇の世界では、簡単に人を信じることなどあり得ない。
どんな人間にでも、隠された本性がある。
わたしも弾さんも、話しかけない。
どうしようもない空気に喉がきゅっと締まる。
そうこうしているうちに建物の前に来ていて、麗日の住処に足を踏み入れようとするとバサッとなにかを被せられた。
「……なっ」
「それ、麗日の命令だからかぶっといて」
渡された(というか投げられた)のは麗日のものらしい上着。
かぶる……ということは、着るわけじゃないらしい。
意図は、わかってるつもりだ。
わたしという “ 女 ” が麗日の家に出入りすることが広まるのは避けたいんだ。
だから顔を隠さなければならないということを。



