麗日は心配するようにわたしを見て、そばに京さんがいることを認識すると、すぐに兄へと視線を戻す。
「うるをこんなんになるまで傷付けたお前の神経は……どーなってんだよ」
彼が呟けば、それを聞いた兄は激昂する。
「全部………っ、レイ!お前のせいだろ!!」
ぎりぎりと歯軋りを繰り返す兄を、麗日は平然として眺めていた。
その態度が気に食わないのか、兄は怒りをヒートアップさせていく。
「お前が……! あの人────俺の父親である元『獅童組』の頭に拾われたあの日から! 全てが狂っていったんだろ……っ!!」
地団駄を踏む兄は、些か子供っぽく見えた。
組員が皆“あの人”と呼んでいる、わたしたちの父親に、……兄はずっと固執しているのだ。



