「お前、手汚いやり方してくるんじゃねえよ。やるなら面と向かって潰しに来い」
麗日は、そう静かに兄に諭した。
怒りを抑え、理性が働いている麗日は、兄よりずっと大人に見えた。
背の高い2人が睨み合っているのはかなり迫力があり、少しハラハラする。
案の定、気に食わない表情を崩さない兄は反論しようと試みる。
「はあ? 『獅童組』のトップは警戒心が強いのかしんねえけど情報のひとつも入って来ねえんだよ」
「だからって実の妹使って俺を潰そうってか? 単細胞かよお前」
「……あ?」
麗日の静かな怒りに、兄の沸々と湧き起こる怒りが積み重なる。
倉庫内の空気がピリつき、今後の行方が分からなくなっていく。



