Hush night



無言で足を引き摺りながら倉庫の扉へと向かう。


麗日に出会ったあの日の夜みたいだな、と他人事のように思っていると、突然グッと髪を引っ張られる。



「お前……っ逃げる気か?」

「……麗日の怪我が、心配、だから」


「っレイレイうるせえんだよ!」



ドンッと弾き飛ばされ、地面に体を打ち付ける。


……地面が、冷たい。

不思議なことに痛みが限界を越えたのか、痛覚よりも冷覚のほうが作動していた。


どうすれば、……ここから解放されるのだろう。

逃げるには、どうすれば……。




近づいてくる兄に、朦朧としながら構えていた、……そのときだった。




────ガァァァンッと鈍い音がして。

何者かによって倉庫の扉が蹴飛ばされ、月明かりが倉庫内に差し込んだ。