完全に兄を見放すことは出来なかった。
妹だから、というのもあるけれど、少し共感できる部分があったから。
誰かに必要とされない孤独は、ひとりでは消えることがない。
ほかの誰かに愛してもらい、温もりを教えてもらって、やっと孤独ではなくなる。
兄は誰よりも、……ひとりぼっちなのだ。
「なんで、なんで……っ!」
弱い力でわたしを蹴る兄を見て、思う。
この人のそばにいれば、わたしは自由を得られないと。
変わらない弱い自分で居続けるんだと。
それは何よりも怖かった。
ずっと兄の奴隷でいるなんて、考えただけでも吐き気がする。
もうやめたい、と強く願う心に嘘はなかった。



