Hush night



「俺はなあ……! レイが憎くて憎くて仕方ねえんだよ!」



激昂した兄は、わたしの顎を掴んで目を合わさせた。

憎悪に満ちた表情が目の前に現れ、思わぬ恐怖に過呼吸になる。



「何の努力もせずに、『獅童組』のトップを掻っ攫っていったあの男が、心底大っ嫌いなんだよ!」


「……っ、」



「あの人も、お前も! どうして俺じゃなくてレイを選ぶんだよ……っ!!」




兄は、泣きそうだった。

わたしも、泣いていた。




だって、ずっと見てきていたから。

だって兄の気持ちは、痛いほどわかっていたから。



兄を変えたのは、麗日なのかもしれない。

だけど、わたしは麗日に感謝していた。


彼に会えないと気づけなかった温もりを知れたから。