Hush night


流石の迫力に、どくんと動悸がする。

真っ先に恐怖が襲ってきて、口を噤む他なかった。


兄は嫌悪感に満ちた表情で、わたしを見下ろす。

汚いものでも見るような視線が、深い闇に突き落とす。



「なあ……お前、俺を裏切らねえって言ったよなあ?」


「……」


「なんでどいつもこいつも、レイを寄ってたかって囃し立てるんだよ……っ」


「……、」



それは、きっと麗日の人柄を知ればわかる。

彼に関われば、わたしが言おうとしていることはわかるはずだ。


だけれど、それは兄に通用しないことはわかっていた。

誰よりも麗日を憎み、蹴落とすために何でもやるこの男に。




「失敗したら許さねえ……って言葉は、覚えてんのか? あ?」



軽く爪先で横腹を蹴られ、誰にも聞こえない呻き声を漏らす。

助けを呼ぶことなど、とっくの昔に諦めていた。


誰も来ないことはわかっていたから、無駄に期待なんてしない。