麗日が血だらけになって帰ってきたとき、後悔という言葉で済ませられないほどの自責の念に駆られたのだ。
麗日は、わたしを暗い暗い闇の底から救い出してくれた人なのに。
優しさや温もりを教えてくれた人なのに。
誰よりもわたしのことを愛してくれたのに。
……それなのに、わたしが彼を裏切ることは、もう絶対に出来ないと思ったのだ。
「…………うるせえ、」
地を這うような低い声で、兄はわたしの言葉の続きを制止する。
でもここで止められるほど、わたしは弱くなかったのだと知る。
「……だって、お兄ちゃん、わたし見てきた。麗日が、……どんな人なのか」
「……黙れ」
「お兄ちゃんが言うような人じゃ、……なかったよ。麗日は、こんなわたしに、手を差し伸べてくれ……」
「黙れっつってんだろーが!!」



