Hush night



「あー最近はレイ側に回る奴が増えてきて、本気で苛々する」


兄はそう独りごち、わたしを気分のままに殴り始める。

この前暴力を受けたときの傷が治っていないのに、同じところを何度も殴られた。


鈍い痛みに顔を歪め、なんとか耐える。

身体的な痛みより、実の兄に殴られているという精神的な痛みのほうが大きかった。


でも、もう諦めていた。

兄が優しかった頃に戻ることも、痛みを感じて辛くなることも。


兄に初めて手を挙げられたときから、わたしには感情が消えてしまったのだ。



「……なんでだよ! どいつもこいつも、レイの味方になっていく!」


「……っ、う、」



「全部レイのせいだよなあ! 俺がこんなのになったのも、お前が俺に殴られてんのも!」