「……なあ、お前は俺を裏切らねえよなあ?」
乱暴な手で頰を撫でられ、悪寒がする。
思わずぶるりと肩を揺らすと、兄の表情が途端に固まった。
「なあ、お前は俺を裏切って、レイの味方になんかつかねえよなあ?」
胸ぐらを掴んで睨まれ、否定なんてすることなく急いで首を縦に振る。
……こういうときは、波風立てずおとなしくしているのが吉だ。
「……そうだよな、お前は俺の妹だもんなあ?」
……わたしのこと、妹だなんて思っていないくせに。
彼に向かってそう言えないけれど、心の中ではそう吐き捨てた。
実の妹に躊躇なく手をあげる兄に、わたしはいつだって縛られている。
奴隷のような扱いを受け、兄が不機嫌になって酷い暴力が降ってくるのをいつだって恐れていた。



