10年前は、こんなに乱暴な兄じゃなかった。
優しくて強くて、頼りになる大好きなお兄ちゃんだった。
それなのに、いつしか人は変わっていくのだと実感する。
もう面影のない幼さを引き出せることは、到底無理なのかもしれない。
「……もう、わたしは、出来ない」
麗日を何年も目の敵にしている兄を、わたしはいま裏切っているのだろうか。
だけど、血が繋がっているだけの兄より、優しく包み込んでくれる麗日を守りたいと思うのはおかしいことなのか。
「……出来ないって、お前、」
「麗日を、傷付けることは、……絶対にやらない」



