Hush night



「お前からここに来るとは、どうしたもんかねえ」



不気味に笑った兄は、飽きたようにわたしの髪から手を離した。

そのまま「中入れ」と言われ、半ば強制的に倉庫に入る。



そうして警戒心の高い兄は、倉庫の入り口を固く閉めた。



薄暗い倉庫に、ただふたりだけ。

その状況が如何に恐ろしいことか、わたしは分かりすぎていて怖かった。


そこら辺に散らばっていたパイプ椅子を立てて座り、兄は思い出したように口を開いた。



「そういえば、お前にしては良い働きしたじゃん? おかげでレイを血だらけにしてやれたわ」



慈悲のない言い方に、気分が悪くなる。

この人の妹だという事実ですら信じたくないと思った。