……と、そんなことより。
わざとらしくへこへこと頭を下げる京にムカつきながらも、気になっていたことを尋ねる。
「京、うるがいま部屋にいるかわかるか」
「もちろん。その報告をしようと、急いでこっちに来たってわけ」
その言葉に、嫌な予感が立ち込める。
京の表情も、少し歪んでいた。
「単刀直入に言うと、うるちゃんは約40分前にレイくんの部屋を出て行った」
……40分前。
ということは、俺と弾が車に乗り込んだ時間あたりか。
俺が『お願いだからここにいて』と言い、うるが頷いたときには、彼女の中で部屋を出ることは決まっていたのかもしれない。
いつもなら絶対にうるから目を離さなかったのに、今日に限っては怪我のせいで病院に行かざるを得なかった。
無意識のうちに拳を握りしめていたようで、皮膚に爪が食い込んで真新しい血が滴っていることに気付く。
それを慌てて穂積が手当てしてくれるのを他人事のように眺めながら、これからどうするかを思案する。
「俺が追跡しようとしたけど、顔を知られてるぶん、うるちゃんに気付かれたら厄介なことになるかなと思って、他の手下に跡をつけさせたってとこ」



