「───黙れ」
思ったよりも低い声が空気を割り、組員たちは途端に口を噤んだ。
冷たい瞳を向けるも、考え直す。
俺が襲われ、弾が状況の説明のために、うるがここでいう“裏切り者”だということは先程知った組員。
彼らは、ただそれを聞いただけだ。
一面的な見方なら、確かにうるが悪く見えるのだろう。
うるが裏切り者で、『獅童組』の敵だと思うのだろう。
その気持ちはわからなくもない。
だから、低い声は依然として変えなかったけれど、なるべく表情は柔らかくするように努めた。
「……もう一度言うけど、麗日、お前は俺らのトップだということを忘れるなよ」
弾が再度、釘を刺すように言った。
それに頷けば、穂積はおそるおそる発言する。
「レイ様は……内通者である彼女を、まだそばに置いておくおつもりですか?」
その穂積の言葉が、堪忍袋を刺激する。
うるを侮辱されるのは、絶対に許せない。
俺は何よりもうるのために生きている。
それは、弾と京しか知らないけれど。
「うるが内通者? ……んなもん最初からわかってんだよ」
────あの夜うるを拾ったときから、いや、それよりもずっと前から知っていた。
うるが、スイの指示で『獅童組』を倒すために俺に近づいたことも。
だけど、俺はそれで良かった。
うるを救い出すには、これしかなかったのだ。



