こんなに抜け出せない沼へと落っこちて……先が思いやられる。
「うるちゃんも麗日にべったりだし……。俺、居場所ねえよ」
べったりって……。
そんなふうに言わなくても良いだろうと思うけれど。
何だかんだ言いながらも弾さんの口調は優しいから、ほっとした。
彼を怖いと思ったのは失礼だったのかもしれない。
わたしの知る、あの環境の人間とは正反対だ。
もう、この時点でわたしたちは間違っていたのかもしれない。
いや未来をわかっているのにも関わらず、麗日に溺れていくわたしがいちばん、間違っていたのかもしれない。
「麗日様。そろそろお着きになりますよ」
控えめに運転席から聞こえてきた声。
突然のことでびっくりする。
よくよく考えたら、運転手がいるなんて当たり前のことなのに。
麗日はわたしと一緒で後部座席だし、弾さんは助手席だから全く意識していなかった。
かなりの高級車だとは言っても、まさか自動運転ではあるまいし当然だ。
わたしたちの会話がぜんぶ筒抜けだったことに、いまさら恥ずかしくなる。



