Hush night



「っ、れいひ……」



ごめんね、のひと言がどうしても出なかった。

なぜなら、麗日の表情が『何も言うな』と言っていたから。



「……だいじょーぶ、こんなの、痛くねえよ」



涙腺が決壊して、首を横にふるふると振った。


そんなわけ……ない。

こんなに血が出て、痛くないはずがない。


わたしを安心するために、どうしてそんなに優しい嘘を吐くの……?


麗しく微笑む麗日は、いつも通りのように見えた。

それがすごく、悲しかった。


「お願いだから……うるは、ここにいて」



なによりも、切実に、彼は訴えてくる。

どうしてここまでしてわたしを引き留めるのかは……計り知れない。


揺れる瞳が、数時間前の彼の瞳と重なる。