Hush night



そんなわたしに、不思議そうな素振りなく「そうか」と彼はうなずく。



「俺のことは、麗日でいい。くん付けさん付けはいらないから」



どこからどう見ても歳上の彼、もとい麗日。

わたしはまだ16歳だから……、彼は20歳くらいだろうか。


それなのに、呼び捨ては少し抵抗がある。

思いつめた表情をしているわたしを一瞥すると、麗日はふっと微笑んだ。



「呼んでみ? うる」



麗日の膝の上にお邪魔している距離感で、彼の低音ボイスが耳をくすぐった。


甘い誘惑に、従順にも口を開いてしまう。

……こんなの、狡い。



「れい、ひ」



か細い声で彼の名を呼んだわたしに、麗日はまたもやわたしを抱きしめた。



「そうやって呼んでくれたら、どんなときもなにがあっても行くから。遠慮なんてするんじゃねえよ?」



諭すように紡がれた言葉が、どうしようもなく心を痛めつけた。

ああ、わたしはなにをしているんだろう。


早くも彼に、彼の魅力に、とっくに溺れている。