今日の麗日はいつにも増して過保護な気がする。
大抵は3ターンほど同じやり取りをしたら諦めてくれるのだけれど、今日はそういうわけにはいかないらしい。
これほど強情なのは中々ないので、少し不安になりながらも彼を見つめ返した。
「帰ってきたらいなくなってる、とかない?」
麗日が、少し掠れた声で尋ねてくる。
何を心配しているのかわからないけれど、彼にはいま、不安な色に支配されていると思った。
「……うん、大丈夫」
人生、何が起こるかわからない。
もしかしたら、麗日はこう言いながらも自分が帰ってこないかもしれない。
わたしのことなどすっかり忘れてしまうかもしれない。
わたしが、この部屋からいつの間にかいなくなってるかもしれない。
彼に拾われた瞬間から、人生山あり谷ありどころか谷ばかりだと思っていた。
でも、それはどうだろうか。
いま、麗日と一緒に同じ山を登っている途中だとしたら。
滑落してしまうのは、きっとわたしだけだ。



