「……今日も、レイ様があの女性を連れているらしいですよ」
そんな声が耳に入ってきて、閉まっている扉の前でぴたりと足を止めた。
「ああ……うる、さんでしたっけ。レイ様がご執心でいるという」
「そうです。聞いた話によると、夜道で出逢ったレイ様が御慈悲で連れ帰ったのだそうで」
「……ということは、身元もわからないということですか」
どうやら、わたしのことを話しているらしい。
それも、否定的に。
聞かないべきなのだろうけれど、一旦止まった足は動いてくれない。
わたしのせいで麗日が悪く言われるのは聞いていられないな……と感じつつも、ただ耳を澄ませることしか出来ない。



