「何もいらない。俺はうるだけがいればそれでいい」
甚大な力を持つ『獅童組』のトップである麗日が、そんなことを言ってはいけない。
わたしがいなくても、この人はきっと生きていける。
それなのに、わたしはその言葉に大いに救われてしまっている。
「わたしも、……麗日だけで、いい」
縋るように麗日の腕に擦り寄ると、彼は優しく頭を撫でてくれる。
何も言わない麗日は、泣きそうなくらい愛に満ちた瞳を向けてくる。
このまま時間が、永遠に止まれば良いのに。
「10分だけ、寝ような」
温かくて、大きな腕に包まれて目を閉じる。
麗日の腕の中で眠るのが日常でなくなるのだとすれば、それは何よりも恐ろしいと思った。



