Hush night



「あの、そのきらいとか、そんなのじゃなくて、」



それより、弾さんに与えてしまった誤解を解かないと。


先程のわたしの態度は、確かに良いものではなかったと自覚している。


目が合ってすぐに逸らすなど気分を害すに決まってる。


そう思って絞り出した声は小さかったけれど、弾さんに聞こえたみたいでほっとする。


「……あ、俺? うん」


驚いたように、嬉しそうに頷く彼に、やっぱり目は合わせられないけど気持ちは伝える。



「人と話すの……得意じゃなくて」



……やっぱり、上手く話せない。

唇を噛みしめると、即座に慌てたように助手席から腕を伸ばし、わたしの頭を撫でる弾さん。



「あ〜〜っ、ごめん、俺が悪いわ! ちょ、あの、落ち込まないで?」



触れられた肩がビクッとあがる。

【レイ】に触れられたときはなんとも思わなかったのに、……どうしてだろう。

この人はなんにも悪くないのに、少し怖いと思ってしまい、動揺が隠せなくなる。


途端に【レイ】に会う前のことを思い出して、息が苦しくなってくる。




「……触んな」



すると、パシッと弾さんの手を叩いて【レイ】はわたしから弾さんを遠のかせた。