……犯人探し。

その単語が頭に浮かんだ途端、ひとりの年配の組員が椅子を蹴散らして立ち上がった。



「レイ様を裏切った奴は何処のどいつだ! さっさと名乗り出ろ!」



凄い剣幕に、皆息を呑む。

至って冷静なのは、麗日と弾さんと京さんの3人だけだ。


穂積さんも叫んだ組員と同じ気持ちのようで、少し表情を歪めていた。




「────座れ」



ピリつく空気を裂くように、麗日の低い声が放たれる。


彼の表情には、何も浮かんでいない。




途端に怯えたように年配の組員は頭を下げ、慌てて着席した。