だんだんややこしい話になってくる。
弾さんに言わせると、スイという人は一応『獅童組』の組員だけれど、自分がなるはずだった組頭に就いている麗日を恨んでいる……ということらしい。
そうして“スイ”が仕切っている麗日を忌み嫌う集団が、以前の暴力事件を起こしたということだ。
「まあスイさんは、事情があって俺らも下手に手を出せないんだ。彼は、『獅童組』において要注意人物。いつ麗日を倒そうと襲ってくるかわからない」
弾さんは他の人に聞こえないようにさらに声を潜めて言う。
「そしてスイさんの参謀は近くにいる……ってことを、あの人たちは言ってる」
ゾクッと背筋に悪寒が走る。
『獅童組』が、麗日が、危険な状況に置かれていることは十分わかった。
暴力事件の日、麗日の手が赤く腫れていたのを思い出す。
これからも、あんな状況……もしくはもっと酷い事が、起きるってこと……?
でも、この麗日を慕う人間の組織に、裏切り者がいるとは思えない。
皆そう思っているのか、お互いの腹を探ろうと鋭い瞳を向けながらもじっと黙っていた。
「それに、組員の動向を知っているのは内密な情報を交換している……この場にいる組員だけのはずだ」



