Hush night



「待っててくれて、ありがとな」



わたしの背中をぽんぽんとしながら、麗日は言う。

いまにも落ちそうな瞼を擦り、ふるふると首を横に振る。



麗日にありがとう、と言われるたびに辛くなる。

心臓が掴まれたような閉塞感に、耐えられなくなる。



そんな自分が、本当に……嫌いだ。


自己嫌悪に陥るわたしを救い出してくれるのは、いつだって麗日だ。




わたしの頭に顎を乗せ、麗日はわたしに言ってくれる。



「うるが玄関の前に立ってたの見た瞬間、……言葉で表せない愛おしさが込み上げてきてさ」



もしかしたら、独り言なのかもしれない。

それほど真っ直ぐで曇りのない声だった。



こくりと頷き、黙って続きを促す。

麗日に愛おしいと言われるたびに、わたしも同じ気持ちが湧き上がってくる。


彼はいつも以上に優しい手つきで、わたしの頭をそっと撫でて言った。





「何に変えてもうるを守らないとって思った。だから俺、自分でも意味わかんねえくらい、うるが好きで仕方ねえ」





初めて、────『好き』だと言われた。


途端に心臓が早鐘を打ち、さらに眠気が飛んでいってしまう。