Hush night



「あー、俺の住処、的な?」

「住処?」



家、じゃないんだ?


ほんの少し疑問に思ったけれど、わたしにそんなこと聞く権利などないと思い、すぐに口を閉じた。



「そ。俺しか入れない秘密の場所」



あの【レイ】の秘密……。

そんなもの、わたしなんかに教えちゃって大丈夫なの?


ガード緩すぎ……、と呆れていると、助手席から男の人がひょこっと顔を出した。


たまたま視線をそちらに向けていたために、しっかり目が合ってしまう。



切れ長の瞳。

ダークブラウンのふわりとした髪。



悟られているような品定めするような、【レイ】とは違うその雰囲気が怖くて、……思わずサッと目を逸らした。



麗日(れいひ)〜、俺もう嫌われたんだけど……?」



────レイヒ。




【レイ】の本当の名前だろうか。

闇の世界ではごく一部しか知らない、彼の本名《プライバシー》。



もちろん、わたしがそんなものを知ってるはずがなく、切れ長の瞳の彼から簡単にそれが出てきたことに驚きが隠せない。

わたしという部外者がそばにいるのに、そんなことなど関係ないかのように話している。



「なに、お前。俺のお気に入りの子に好かれようとでもしてんの? 沈めんぞ」



「こわぁ……、いいじゃん俺だって仲良くしても」

「残念だけど、(だん)になんか絶対やらねえよ?」


「えー、なんでだよ」

「この子は俺が見つけたから」



【レイ】の大きな手が、ゆっくりとわたしの頭を撫でた。



俺が見つけた、って……。

そんなに愛しい眼で見つめられたら……、反応に困る。