「……ん、そっか」
「さみし、かった」
ああ、我儘だ。わたし。
麗日を困らせたいわけじゃないのに、なぜか甘えたい欲が止まらない。
わたしの言葉に麗日はサッと靴を脱ぎ、腕を広げて見つめてくる。
「うる」
呼びかけられ、外の冷気に包まれた麗日に勢いよく飛びつく。
そのまま大きな身体でわたしを抱きしめ、彼はそっと耳元で囁いた。
「寂しいってちゃんと言葉にしてくれて、ありがとうな」
「……、うん」
「甘えてくれるの、すげえ嬉しい。愛おしすぎておかしくなりそう」
おそるおそる麗日の背中に手を回してしがみ付く。
甘えても、我儘を言っても、彼は受け入れてくれるどころか……ありがとうと言ってくれる。
それがどれほど幸せなことか、いままで知らなかった。
麗日はわたしの中で、もう既に特別で、凄く凄く大切な人。
手放せないのは絶対にわたしの方だ。
「……眠い、」
麗日に抱きしめられていると、途端に安心して睡魔が襲ってくる。
先ほどまで寝られなかったのが嘘のように、いますぐベッドに入りたい衝動に駆られた。
「ん、俺も。いったん着替えるから一緒に寝よ」
かぷっとわたしの耳を甘噛みしたあと、麗日は何事もなかったかのように着替え出した。
……耳、熱い。
動けなくてその場で突っ立っていれば、麗日はクスッと笑って手招きしてくる。



