「ん?」
首を傾げる彼に、俯きながら言葉を紡ぐ。
「どこに、向かってるの……?」
揺られる感覚でわかった。
ここは、車の中だと。
しかもかなりの高級車だろう。
シートはふかふかで居心地が良くて、部屋のような内装で一瞬わからなかった。
そんなものにわたしが居座っていて良いのかが不安だけど、横にいる彼の存在感があまりにも大きくて、今はそんなことを気にする余裕がない。
『車よろしくー』
さっき、彼が言ったひとことで現れたであろうこの車。
……ただそれだけの電話一本でこんな高級車と運転手を操る彼は、本当に何者なんだろう。



