Hush night


「……っ、」



ピリッとした小さな痛みが首筋に走る。


……な、なに?

初めての経験で焦っていると、麗日は妖艶に笑って口を開いた。



「俺のって印、付けちゃった」



これは世で言うキスマーク……。

認識すると同時に口をぱくぱくとさせているわたしに構わず、彼は再度首筋に顔を埋めてくる。



「鎖骨、綺麗すぎ」


独り言のように呟き、彼はわたしの鎖骨をなぞっていく。

今借りている麗日のスウェットは大きいせいか、服を着ていても鎖骨あたりまで見えてしまうらしい。



ぴくっと少し反応すれば、麗日は弱いところを知ったことを嬉しそうに片眉を上げる。


ちゅ、と鎖骨あたりにキスを落とされ、小さく吐息が漏れる。


熱くて逃げたいのに、本音は逃げたくない。


交差する矛盾に苛まれながら、ただ目の前の彼の背中を掴む。




そうしてまた唇が重なり、息苦しくて彼の胸板を叩こうとした……その瞬間だった。




────ピルルルッ



無機質な音が部屋に響き、ぴたりと麗日が止まる。

どうやら彼のスマホが鳴っているらしい。




かなり夜が更け始めている時間帯。

……こんな時間に、電話?



熱から逃れた解放感から呼吸を整えつつ、彼に尋ねた。