彼の大きな手がわたしの身体をなぞる。
唇を重ねながら熱を灯して、麗日はわたしを深い沼へと溺れさせていく。
「ちょっと、口開けて」
こんなにキスをしながらよく話せるなあ……と内心驚きながらも、訳の分からぬまま少し口を開いた。
従順な人間は、時に貪欲な獣に啄まれる。
途端に熱い舌が捩じ込まれ、びっくりして目を見開いてしまう。
至近距離で目が合うと、麗日はクスッと小さく笑った。
わたしが全然追いついてないのを良いことに、獰猛な獣をますます止められなくなっていく。
「……ぅ、」
「苦しい?」
「……う、っぁ」
「止まんないから許して」
もうこのまま何処までも溺れたい。
助けてくれなくていいから、ずっとずっと浸っていたい。
「れい、ひ……」
急に彼の温度を欲して、手を伸ばす。
すぐに応えるように柔らかく抱きしめてくれる麗日は、本当に優しい。
「うるって結構、甘えてくるよな」
「……そう、?」
「ん。俺しか知らなくていいこと」
口角をキュッと上げる麗日を見ていたら、わたしも自然と笑顔になる。
そういう感情になることは目の前の彼以外にはなかったから新鮮だ。
麗日といると、時間が止まれば良いのに……とよく思ってしまう。
それほど時が過ぎるのが早く、幸せを感じているのだろう。



